株式会社バトンの佐久間です。

「とにかくたくさんの人に見てもらいたいんです」
「バズるような記事を書いてくれませんか?」
Webマーケティングのご相談を受ける際、担当者様からこういった要望をよくお聞きします。
お気持ちは、痛いほどよく分かります。 グラフの数値が右肩上がりになれば、担当者として安心できますし、目に見える「成果」として社内でも胸を張れます。
ですが、御社のブランドを大切に思うからこそ、正直にこうお伝えするようにしています。
「バズらせることはできます。でも、それがかえって御社のブランドを傷つけてしまうかもしれませんよ」と。
今日は、多くの企業が陥っている「PV(閲覧数)の罠」というマーケティングの本質的な課題についてお話しします。

「野次馬」を集めても、商品は売れない
マーケティングにおいて最も危険なのは、「ターゲットではない人」を大量に集めてしまうことです。
例えば、真面目な工務店が「面白おかしいネタ記事」でバズったとします。 アクセス数は一気に100倍になるかもしれません。しかし、その読者は「家を建てたい人」でしょうか?
残念ながら、ただの「暇つぶしに来た人」の可能性が高いです。
彼らは記事を読んで笑うかもしれませんが、問い合わせボタンは押しません。 それどころか、本来のターゲットである「真剣に家づくりを悩んでいる人」が見たとき、「この工務店、ふざけていて信頼できないな」と離れていってしまいます。
これをマーケティング用語で「ブランド毀損」と呼びます。
数字合わせのために集めたアクセスは、一銭の利益も生まないどころか、将来の顧客を追い払うリスクすらあるのです。

必要なのは、花火ではなく「焚き火」
オウンドメディア(企業ブログ)の役割は、打ち上げ花火のような『一瞬の拡散』ではなく、『焚き火』のように静かに燃え続ける信頼を築くことだと考えています。
派手さはなくても、ターゲットとなる「たった一人」の悩みに深く寄り添い、じわじわと身体を温めるような記事。
そういった記事は、SNSで何万回もリポストされることはありませんが、検索エンジンを通じて、本当に困っている人が毎月ポツポツと訪れ続けてくれます。
- バズ狙いの記事: 10万人が見て、問い合わせは0件。
- 課題解決の記事: 100人しか見ないが、そのうち3人が契約してくれる。
ビジネスとして正しいのは、明らかに後者です。 私たちが提供したいのは、見せかけの数字ではなく、「成約率(CVR)の高いアクセス」です。

勇気を持って「絞る」ことから始めよう
「誰にでも好かれる記事」は、裏を返せば「誰の心にも残らない記事」になってしまいます。
だからこそ、私たちバトンは制作に入る前、徹底的に「ペルソナ(たった一人の読者像)」を絞り込みます。
「30代の女性」といった大きな枠組みではなく、 「都内在住、32歳。最近管理職に昇進して部下の育成に悩んでいるけれど、弱音を吐ける相手がいなくて困っている佐藤さん」 ……ここまで具体的に想像して初めて、その人の心に届く言葉が生まれます。
99人の通りすがりの人には気づかれなくても、 残りの1人が「これは私のための記事だ!」と救われるような気持ちになってくれるなら、それはマーケティングにおいて大成功だと思うのです。

数字の向こう側にいる、一人のお客様へ届ける
もし今、あなたが「アクセスが伸びない」と悩んでいるなら、一度その管理画面を閉じてみてください。そして、画面の向こうにいる「数字」ではなく、悩みを持った「生身の人間」の姿を想像してみてください。
その一人のために、私たちはどんな言葉をかけるべきか。 どんな情報を届ければ、その人の人生が少しでも良くなるか。
それを考え抜くことこそが、遠回りのようでいて、最強のマーケティング戦略です。
御社が本当に集めたいのは「数字」ですか? それとも、御社を愛してくれる「顧客」ですか?
もし後者であれば、ぜひ私たちにその手助けをさせていただければと思います。
